なんでこの値段なの?適正価格を考える

bg Tシャツは気軽に着れて機能性にも優れた普遍的な衣服です。そんなTシャツは、同じ『Tシャツ』でもブランドによって値段にのバラつきがあります。

ファストファッションブランドは980円で、アンデトローゼは5,600円、パリコレブランドでは10万円を超えるTシャツも存在します。

どうして同じTシャツなのに値段がこんなに違うんだろう?と生産背景をイメージしてみると、Tシャツという単なる物質から物語が加わり、深みが増す感覚になって面白いなって思ったので、背景や適正価格について書いていきたいと思います。



Tシャツができるまで

まずは、Tシャツがどのようにして出来上がるかを、コットン100%Tシャツで説明します。



1.綿花の栽培・収穫

Cotton Harvest
材料となる綿花を栽培・収穫をするところから始まります。

ちなみに、綿花の三大産地は中国、インド、アメリカです。大量に栽培させなけばならないため、日本では土地代や人件費が膨大になってしまう為、綿の国内の自給率は「限りなく0%」です。

輸入綿は一キロ三百〜七百円で手に入る中、日本綿を国内で栽培し売るとなると、栽培にかかる人件費など計算すると綿一キロが一万六千円ほどになってしまうそうです。



2.紡績(ぼうせき)・染色

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出典 gdn2425.jp

綿花をつむぎ、たくさんの工程を重ねて綿糸にしていきます。その後、綿糸の染色もします。

余談ですが、化粧品で有名な「カネボウ」は鐘淵紡績の略称で、元々は紡績会社でした。



3.編み

生地
綿糸を編み、生地にします。編み・シャツやデニムなどに使われる「織り」と合わせると数十種類もあり、伸縮性や通気性、丈夫さなど用途により使い分けます。Tシャツは「織り」ではなく「編み」でニットの分類に入ります。

生地の厚さは、糸の太さで決まります。アンデトローゼで使用している綿糸はコーマ糸の30番手と呼ばれるものです。コーマというは短い繊維25%を不良部分とみなし取り除いた贅沢な糸の事で、もっとも品質がよくなめらかな肌触りです。
「番手」は糸の太さの事で、30番手はTシャツの中では細かく軽い糸で、着心地のよい薄手のTシャツです。

Tシャツで一番見られるのは「天竺編み」と呼ばれるもので、横方向への伸縮性が大きいのが特徴です。



4.裁断、縫製

ミシン
生地をパターンに合わせ裁断し、ミシンで縫製して完成します。

これは衣服全般にいえる事ですが、縫製は機械で完全オートというのはほぼ不可能で、必ず人の手が加わります。ミシンを使い手作業でつくられます。

ただ、最近3Dプリンターの発展で、縫製の概念がなく立体的に編む方法でオートマティックで服をつくれる可能性が出てきてるそう。



5.プリント、仕上げ

一点物プリント
デザインTシャツの場合は最後にプリントを施します。

プリントの種類は色々ありますが大まかに二種類あり、以前記事にしたシルクスクリーン印刷と、家庭用プリンターみたいにボタンひとつでカラー印刷が機械でプリントできるインクジェットプリントです。アンデトローゼは主にシルクスクリーンを採用しています。






これらの工程の中にも細かく工程がありますが、今回は割愛します。

比較的安易につくれるTシャツでさえ、出来上がるまでにはこれだけたくさんの時間と労力がかけられています。



なぜファストファッションブランドのTシャツは1000円以下なのか

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ユニクロやシマムラなどのファストファッションブランドでは格安の990円でデザインTシャツを購入できます。

消費者にとって少しでも安く購入できる事はとても素敵な事ですが、Tシャツの製造にこれだけ時間と労力がかかっているのになぜこんなに安く提供できるのでしょうか?



大量生産

ひとつめの理由は大量生産です。少量よりも、大量につくった方がコストが圧倒的に安く済みます。

もちろんその分お金もリスクもかかるので、それが出来るのは資本力と知名度があるブランドでないとできません。

普段何気なく着ている個性的なデザインのTシャツは、何十万人とカブっている可能性があります。



人件費

ふたつめは、人件費です。日本と比べ、発展途上国の給料は圧倒的に安いです。

中国やバングラデシュで大量生産をすれば、コストは日本で生産したTシャツより何倍も安価で製造できます。

バングラデシュの衣料品産業労働者の最低賃金は、現行の月額3000タカ(約4020円)から12月に77%アップの5300タカ(約7102円)に引き上げられると報道されている。


2014年の時点で、月収約7102円だそうです。日本は約22万円くらいなので、単純に考えると1/30で済む計算になります。



アンデトローゼのTシャツの値段

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一方、アンデトローゼの一点物Tシャツの値段は5,600円です。なぜこのような値段なのでしょうか。

できる限り日本製

やはり、日本製というところが大きいです。当たり前ですが、途上国製と比べてみると日本製はすごく高いです。ですが、裏打ちされた絶大な信頼があります。
製造は久米繊維工業さんです。(久米さんについて興味がある方は以前書いた記事はコチラ。)

アンデトローゼで使っているTシャツは紡績の段階から日本でつくられています。上記で説明したとおり、綿の国内自給率は限りなく0%なので綿の栽培からは実質不可能ですが、可能な限り日本でつくられています。

久米繊維さんは震災復興を目指し東北コットンプロジェクトに参加されており、東北でつくられた綿糸を少し取り入れているそうです。(※アンデトローゼの商品では使われておりません)久米さんのそういうところが好きです。

当然、染色も当然日本で行われています。染色は、水がとても大事みたいで日本の水は素敵なのと、やっぱり日本の染色技術は素晴らしいそうです。


一点物プリント

また、一点物プリントを採用している事もこの値段である理由のひとつです。一点物プリントは一般的なプリントと比べ、時間がかかり失敗するリスクもあります。

その他、オンラインサイトに掲載する工程は、例えば在庫が1000枚あるブランドのTシャツと、アンデトローゼの一点物Tシャツと比べると、写真撮影や商品説明における手間の差は1000倍です。

このように、日本製、一点物プリント、WEB掲載なども考慮すると、量産品と比べどうしてもコストはかかってしまいます。



もっと安く届けたい

20SALE
アンデトローゼは今年4月に価格の抜本的見直しを行い、全商品20%OFFにしました。今は5,600円(+税)ですが、4月以前は7,000円(+税)でした。

KEYTALKの八木優樹氏や04 Limited SazabysのKOUHEI氏などが着てくださったり、片平里菜氏やまじ娘氏のコラボレーションなど、ミュージックシーンとの関わりが深くなったりしており、購入いただいているお客様も若い方が増えている中でTシャツ一枚7,000円では中々手が届かない人も増えてきているのではと思い、安くする事を決めました。

しかし、上記で説明したとおり、その価格なった理由がしっかりとあり、安くする余裕がない。どうしたらいいか考えたのち、これまでの実在店舗へ卸す事を前提とした価格設定から、オンライン販売を中心とした価格に変更しました。

店舗へのお取り扱いを減らすことで中間マージン分のコストをカットし、その分をお客様へ還元する仕組みへ変更する為、20%という大幅な値下げが可能となりました。直接見て触れていただける機会が減るというデメリットもありますが、これにより、これまで以上にお客様にお求めやすい価格となりました。




感じること、まとめ

ファストファッションブランドを悪くいうつもりは全くありません。消費者によっては、日本でつくられようが中国やバングラデシュでつくられようがどうでもいいことも承知しています。

それに日本製といっても、大量生産という点については綿の栽培、紡績、編み等はまさに大量生産システムを導入していますし、その他にも、むしろ普段の生活の中でたくさんの恩恵をもらっています。

人件費に関しても、途上国での生産をとやかく言うのは差別につながりますし、品質というのは国単位でなく工場や人単位であるものなので、ヘイトは不毛です。

そして超一流のデザイナーを起用しているので、当たり前ですがめちゃめちゃかっこいいです。

一方、コスト削減に注力しすぎ劣悪で過酷な労働環境や、有害化学物質を河川へ垂れ流す環境汚染など、問題は色々あるみたいですが、それは他の方の記事を読んだに過ぎず、それが嘘か本当かは実際この目で確かめていない事なので本質的な信憑性に欠けます。

ただ、「どこで誰がつくったかわからない」事への違和感はあります。日本へ届くまで管理が行き届きすぎて、そしてブランディングがあまりに見事すぎて、裏側が見えない。

例えば「Made in China」(最近は「Made in PRC」(中華人民共和国=People’s Republic of Chinaの略)となっているものもあります)となっていても、あの広大な中国のどこでつくられたのか、どんな場所で、どんな人がつくったのかが全く見えない事に違和感があるのです。

アンデトローゼのTシャツは、プリントは自ら行っており、久米繊維工業が千葉の縫製工場で製造しています。実際この目で製造過程を見てきました。つくっている職人さんも見てきました。下記の動画はその時の映像です。



衣服は常に体に触れるもの、生活の基本要件の衣食住なのですから、スーパーの野菜みたいに、どこでつくられたのかを伝えたい。

アンデトローゼは、なぜこの価格なのか、なぜ一点物にこだわるのか、どこがつくっているのか、そんな裏側もできる限り伝えていけたらと思っています。